· 

建築探訪日誌2019/秋

谷村美術館は1983年に完成した、故人村野藤吾氏設計の作品の中で比較的に新しい作品となります。

シルクロードの砂漠に立つ建物を意識されたとのことですが、この美術館は澤田政廣氏の仏像作品を展示する美術館のため、

仏教が大きく関わっている空間となります。仏教はインドからシルクロードを通じ中国へ、そして日本にもたらされました。

伝統的日本建築物や日本庭園の傍らに敢えて砂漠の建物を生み出す発想は、そうした仏教シルクロード伝播を表現しているのだと理解します。

内部に入るとは天空光を纏った仏像作品がとても神々しく、時がゆっくり流れ過ぎていく感覚を覚えました。

法師温泉長寿館は創業140年の国登録有形文化財の宿として、温泉愛好家からも絶大なる支持を得ている名旅館です。

日本全国広くとも長寿館こそが古き良き日本温泉宿の代表格と言えます。築140年の歴史的建築物ゆえに快適性を望むのはナンセンスですが、快適性を強く望みがちな有澤と娘としては再訪は無いみたいです。(※虫が多くて)その言葉で私は少し寂しい気持ちになりましたが、著名な文化人や建築家が愛して止まないこの名旅館に敬意を込めて、私はまた3人で再訪したいと思います

苗場高原にある「ドラゴンドラ」は全長5,481mの片道25分でゴンドラでの日本最長の空中散歩が楽しめます。

お勧めは10月中旬の満開の紅葉シーズン。11月に入ると紅葉はほとんど終わっています。

それでも山頂駅の空気は澄み渡り、天国の様な景色が広がり自然を満喫するには十分です。

マ・ヤンソン率いる中国のMADアーキテクツ改修設計の「Tunnel of light」を拝見。自然の5大要素「木、土、金属、火、水」を用いて、歴史的トンネルから芸術的トンネルへと変貌を遂げた作品です。2枚目の写真にある不思議なカプセル状の「金属」はトイレです。中からは外を見れて、外からは中は見えない素材で、金属の中ではパブリックスペースに居ながらも周囲の視線をカットし自然を楽しむことができます。そして3、4枚目の写真は「火、水」の表現ですが、異質でありながらも美しい設計で私たちを楽しませてくれました。